メドック地区マルゴー・カントナック村の格付け第3級。

 

『ワイナート28号 特集マルゴーの時代 より抜粋』

メドック、特にマルゴーでは珍しく、ディサンの畑は一ヶ所にまとまっている。マルゴーならではの魅力は、広範囲に分散した畑がもたらす味わいの多面性や、表現力の豊富さにあるとしたら、ディサンは少々異なった印象だ。むしろ奥ゆかしく、滋味深い。そして淡々としつつも揺るぎない信念がある。円満なバランスは、ひとつの畑からのみできるワインならではの味わいと言うべきだろうか。

 ハプスブルク帝国の実質上最後の皇帝フランツ・ヨーゼフが、全ボルドーワインの中で最も好んだのは、シャトー・ディサンだという。伝説に聞く彼の生涯と、このワインの味わいは、妙に説得力をもって、似合う。

 シャトー・ディサンも他のマルゴーと同じく、長い不遇の時代を過ごしてきた。格付けに対して内容が伴わない代表例のひとつだった。しかし現在のオーナー、エマニュエル・クルーズがI993年末に経営に参加するようになって変化が始まった。

 まず1994年、才能ある若い栽培醸造責任者、エリック・ブロンを雇い入れ、同時に、著名な醸造コンサルタント、ジャック・ボワスノと契約した。そして1995年、セカンド・ワインを遅ればせながら導入。また同年、最も根本的な改革として、畑の排水性を向上すべく、排水管埋設工事を開始した。

 埋設作業が終了したのは1997年。この年からエマニュエルが父親からシャトーを完全に引き継ぎ、以降のシャトー・ディサンは別物となった。かつての締まりのなさ、平坦さ、陰気さ、といった負の要素が消え、緻密気 エネルギー感、気品が加わった。

 さらに2002年以降、デンマークの農業学校と契約して、学生80人を収穫人として採用し、収穫されるブドウの質が向上。この年に醸造設備も更新された。その成果は、2002年ヴィンテージの高品質を見れば明らかだ。

店頭販売も行っているため品切れの際はご容赦下さい。